七つの祝福
創世記12章1~4節
アブラムは、主が告げられたとおりに出て行った。
聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
待降節、アドヴェントの第2週に入りました。クリスマスを通して神様が私たちすべての人に示しておられることは「神様は私たちを愛している」ということです。
「愛している」「愛されている」ということを私たちはどのようにして分かるでしょうか?その一つは愛し合っている者同士が「一緒にいたい」という気持ちを持つことから分かります。だれでも愛しているならば「一緒にいたい」と思います。神様は私たち一人一人と一緒にいたい、交わりたいと思っておられるのです。ですから神様は私たちに声をかけ、呼び、招かれるのです。なぜなら多くの人が神様から離れて、神様と一緒にいないからです。神様との交わりを持っていません。ですから神様は私たちを「わたしのところにおいで」、と招いておられるのです。
1.アブラハムの召命
今から何千年も前のことです。神様は現在のイラクにいた一人の人、アブラムという人を呼び招かれました。
「アブラムよ、あなたはあなたの今住んでいる土地を離れてわたしの示す地に行きなさい。」と。住んでいる土地を離れるのですから、当然、親せきの人々、自分のお父さんの家も離れて「神様が示す地」に行かなければなりません。アブラムさんは、この神様からの招待を受けた時には「ウル」という土地にいました。そこでアブラムさんは妻のサライさんとお父さんのテラさん、そして甥っ子のロトさんと「神様の示す地」に向かって旅立ちました。ところが最初アブラムさんは神様の示す地がどこなのか知らなかったのです。神様の約束のことばを信じ、信頼して「信仰によってアブラハムは相続財産として受け取るべき地に出て行くようにと召しを受けた時に、それに従い、どこに行くのかを知らずに出て行きました。」(ヘブル11:8)どこか分からなかったので、最初アブラムさんたち一行はハランという町に着くと、そこに住みました。その町でお父さんのテラさんは亡くなりました。それから神様は再びアブラムを呼び、招きました。あなたの行くべき地はハランではなく、もっと先だよ、と告げられたのです。そこでアブラムさん一行は旅立ち、カナンの地に向かって行ったのです。
2.神様の祝福の約束
神様はアブラムさんを愛していましたから、アブラムさんが神様の御声に従うならば祝福を与える、と約束したのです。それも七つの祝福です。聖書では「七」という数字は完全、パーフェクトという意味を含んで使います。ここでもそういうことです。神様はアブラムさんに、もしアブラムさんが神様の招きのことばに従うならば、七つの、完全な祝福を与える、という約束をしたのです。
- 祝福の第一番目は、アブラムさんを「大いなる国民とする」ということです。
- 第二は、「あなた(アブラム)を祝福する。」ということです。
- 第三は、「あなたの名を大いなるものとする。」
- 第四は、「あなたは祝福となる。」
- 第五は、「あなたを祝福する者を祝福する。」
- 第六は、「あなたを呪う者を呪う。」
- そして第七は、「地のすべての部族は、あなたによって祝福される。」という七つの約束でした。
「大いなる国民にする」と神様は約束しましたが、アブラムさんは、妻サライさんと二人、未だ子供がいません。どうして大いなる国民になる事ができるのでしょうか?信じられないことです。2番目に神様はアブラムを祝福して下さる、と約束しました。まだこれからどこに行くのかも知らないのに、「祝福する」と言われてもどういうことか分かりません。金持ち、財産持ちになるということでしょうか?いや違います。神様の祝福は、霊的な祝福です。神様といつも一緒にいるようになるということでしょう。第3番目に「あなたの名を大いなるものとする」と言われてもよく分かりません。有名な人になるということでしょうか?新しい土地に来て、親戚縁者もいないのに、だれも知っている人がいない土地に行くのにどうして人々に知られる有名な人になれるのでしょうか。第4番目はもっと難しいことです。「あなたは他の人々の祝福となりなさい」どうやって人々に祝福をもたらすことができるのでしょうか。自分は外国人です。第5番目と第6番目の約束は分かりやすいです。アブラムのことを祝福し、良い関係を築いてくれる人たちは神様によって祝福されるが、アブラムを嫌い、呪うような人々は神様から呪われるようになる、というのです。
そして第7番目の祝福の約束はもっとスケールの大きい祝福です。「地のすべての部族はあなたアブラムによって祝福される」というのです。アブラムがこれから神様に導かれて行くその土地の人々だけではないのです。「地のすべての部族」がアブラムによって祝福される、というのです。つまり、アブラムの家族や親族だけではなく、地球上に住むすべての人、全世界の人がアブラムによって祝福を受けるというのです。スケールの大きな祝福の約束が与えられました。大きな船や飛行機のない時代です。どのようにしてアブラムは「地のすべての部族」に祝福をもたらすことができるのでしょうか?この祝福は、アブラムによってもたらされる、というのではなく、アブラムの子孫を通して「祝福」がすべての人にもたらさられる、ということです。アブラハムの生きている間には成就しませんでした。なあんだ、神様は騙したのか。そうではありません。この神様の約束が成就されることをアブラム以後の人々は待ち望んでいました。アブラハムの子イサクも、ヤコブも、ヨセフも待ち望んでいました。旧約聖書はアブラハムの子孫が神様の七つの約束が成就するのを、信仰を持って待ち望んでいたことを記しているのです。
神様の祝福、つまり私たち人間が神様と一緒にいるようになり、神様の愛を受け、神様の家族の一員となり、神の子として生きるようになることを待ち望んでいました。この人こそ神様が遣わして下さるメシア、救い主、キリストのことです。神様はアブラムに約束されました。あなたの子孫から神様の祝福を全世界の人々にもたらすメシアが生まれる、ということです。
世界中の人々はこのメシアがいつ来るか、いつ来るか、と首を長くして待っていました。そして今から2千年前にイエス・キリストは誕生したのです。それがクリスマスです。マタイの福音書1章1節に「アブラハムの子、ダビデの子、イエス・キリストの系図」とありますように、イエス・キリストはアブラハムへの約束の成就としてこられたことを示しています。
3.神様の招きを聞き、それに従う
アブラムはどのようにしてこの七つの祝福を受けることができたのでしょうか?
1.神様の呼び声を聞いたのです。私たちも同じです。初めに言いましたように、神様は私たち一人一人を愛しておられるのです。神様は私たちを神様と一緒にいるように呼び、招いておられるのです。「わたしのもとに来なさい」と。
2.アブラムはその神様の招き声を聞き、従いました。私たちも同じです。神様の招き声、呼び声、聖書を通して私たちに語られていることばに聞き従うことによって神様の祝福を受けることができるのです。聞き従う、ということですから、ただ神様の声を聞いただけではダメです。聞いて従うという行動を起こすことです。私たちが神様の約束のことばを信じて、神様に従って生きるという行動を起こすことです。「アブラムは信仰によって相続財産として受け取るべき地に出て行くようにと召しを受けた時に、それに従いどこに行くのか知らずに出て行きました。」(ヘブル11:8)イエス様は、私たちに「わたしのもとに来なさい。私があなたがたを休ませてあげます。」(マタイ11:28)と約束して下さっています。アブラムは「相続財産として受け取るべき地」としてカナンの地を受け取りました。私たちはアブラハムの子孫として生まれたイエス・キリストによって「休み」、永遠のいのちを相続するのです。
3.イエス・キリストの下さる相続財産は、私たちがイエス・キリストによって罪を赦されて永遠のいのち、神様と共に永遠に生きる者とされることです。イエス・キリストはクリスマスに生まれて、私たちに神の国について教えました。神の国とは、神様を自分の王様として受け入れ、生きる人々がいる所です。イエス様は、「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。」(ヨハネ14:6)と言われました。イエス様は神の国に入る道でありました。真理の道でした。ですから、イエス様は私たちを神様から離れさせている罪を示し、罪を悔い改めるように教えられました。そして最後に、イエス様が私たちすべての人間の罪を背負って、身代わりとして、イエス様ご自身は罪がないのに罪とされ、十字架の上で死なれたのです。このイエス様の十字架が自分の罪の赦しのためであることを知り、信じた人は永遠のいのちを受けるのです。
4.アブラムが神様の約束のことばを信じて、行動を起こし、自分の今までの生き方を捨て、故郷を離れ、神様が示された地に向かって歩んで行き、約束の相続財産を受けたように、私たちも、今までの神様を知らない、イエス様を信じない、自分中心の生き方を捨て、そこから離れて、「わたしのもとに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」というイエス様の約束のことば、十字架のことばを信じて、それに従うならば、永遠のいのち、新しいいのちを受け、神の子として神様の家族の一員として受け入れられるのです。
5.アブラムは神様の招き声に従った時に、アブラムの子孫は「大いなる国民」になる、と約束されました。アブラムの子孫として生まれたイエス・キリストを信じて永遠のいのちを受けたクリスチャンたちは世界中に何億、何十億と数え切れない多くの「神の大いなる国民になりました。」イスラエル地方の一部の人しか知らなかったイエス・キリストの名前は大いなるものとなり、全世界の人々に、歴史を超えて受け入れられました。クリスチャンたちは歴史の中でしばしば呪われ、迫害されて苦しめられてきましたが、永遠のいのちに生きるクリスチャンたちの祝福の証し、証言は絶えることなく続いています。アジア人も西洋人も、アフリカ人も南米の人々も世界中の人々がこのアブラムの子孫イエス・キリストによってもたらされた「祝福」永遠のいのちを受けているのです。あなたもこのクリスマスに主イエス・キリストの十字架のことばを信じ、受け入れてこの「永遠のいのち」という素晴らしいイエス様の祝福を受け取りませんか?お祈りしましょう。